日本神経心理学会

神経心理学への誘い

私はこうして学んだ

奨励賞受賞者から:第1回
川邊 圭太 先生(社会福祉法人農協共済中伊豆リハビリテーションセンター リハビリテーション部)

出身校:目白大学保健医療学部言語聴覚学科,筑波大学大学院人間総合科学学術院人間総合科学研究群リハビリテーション科学学位プログラム博士前期課程,国際医療福祉大学大学院医療福祉学研究科保健医療学専攻
現在の勤務先:社会福祉法人農協共済中伊豆リハビリテーションセンター リハビリテーション部

1)神経心理学に関心をもたれたきっかけ

 今回の受賞論文の内容であり,私の研究テーマの1つが「発語失行(apraxia of speech)」です.私が発語失行を深めたいと思ったきっかけは言語聴覚士養成校時代の臨床実習での患者様との出会いでした.発語失行をもつ患者様を担当させていただきましたが,発語失行や合併する失語の評価にとても難渋しました.今思えば,発語失行評価のゴールドスタンダードである聴覚印象評価の難しさであったのだと思いますが,発語失行の本質を理解することができていませんでした.そして,それは国家試験を経て言語聴覚士として臨床を開始してからも同様で,なかなか理解は深まらず,自身の評価やリハビリテーションに自信が持てず,苦しくもどかしい日々でした.そこで,発語失行を深めよう,神経心理学を学ぼうと一念発起し,筑波大学大学院へ進学し吉野眞理子先生のもとで発語失行を中心に神経心理学の基礎を学びました.

2)これまで神経心理学をどのように学ばれてきましたか? 今後どのように活動していきたいと思いますか?

 筑波大学大学院を出た後は,国際医療福祉大学大学院へ進学し藤田郁代先生のもとで神経心理学を学びました.「神経心理学」というものを吉野眞理子先生や藤田郁代先生から直接学べたことは私にとって何よりの財産であり,臨床の糧になっています.また,神経心理学を学んでからは日々の臨床のすべてが学びだと考えています.患者様の反応を丁寧に観察し,分析することが妥当性の高い評価となり,効果的なリハビリテーションに繋がるを実感しています.今後は引き続き,臨床研究を通して神経心理学の臨床的意義を発信していきながら,将来的にはいずれの形で後進育成にも携われるように精進してまいります.

3)これから神経心理学を学ぼうとされる方々にメッセージ

 “神経心理学”という分野は外から見るととても難しい分野にみえるかもしれません.実際に学生時代や言語聴覚士として臨床を始めたばかりの時の私がそうでした.私自身もまだまだ未熟者ではありますが,勇気をもって一歩踏み出すと,きっと神経心理学の奥深さや臨床における重要性,なにより楽しさに気づくことと思います.最初は諸先輩方のように,思うようにいきません.ただ,先輩方はきっと優しく教え,助けてくださります.勇気を出してまずは学会への参加,発表を試みてください.学会に参加することで同志の仲間が増えます.我が国の神経心理学が発展し,今後さらに盛り上がっていくように私も皆様と一緒に精進してまいりたいと思います.

» 私はこうして学んだINDEXへ戻る

このページの先頭へ