私が大学3年生の時に,神経心理学という学問があることをはじめて知りました.そして,これをさらに学ぶことは,将来,OTとして働くときの強みになると考え,進学を志しました.
私は東北大学へ進学し,高次機能障害学講座で5年間,山鳥教授をはじめとする多くの先生から指導を受けました.大学院では,講義や修士論文・博士論文のための研究のほか,英文輪読会,文献抄読会,教授回診のほか,院生同士のディスカッションなどを通して,神経心理学的症状を理解するための基礎や各症状の特徴について学ぶことができました.
大学院修了後,OTとして病院で勤務し,半側空間無視,失行,失認,失語,Bálint症候群,構成障害などの症状を呈した患者を担当する機会がありました.診療場面では,症状の理解のみならず,神経心理学的症状が日常生活にどのような影響を及ぼすのかについて学ぶことができました.その際,大学院で学んだ症状の診かたが,OT実施時に大きな助けとなりました.
院生時代から当学会の学術集会のほか,他の学会や研究会に参加し,発表内容を見聞きすることで新たな知識を吸収することができました.さらに,自らの発表に対しては,参加者からの質問や指摘をいただくことができ,それがその後の研究や臨床活動に役立っております.
現在,私はOTの養成校の教員として,これまでの知識・経験をもとに学部生や大学院生に神経心理学を学ぶことの必要性や魅力を伝えており,今後もこれを継続していく予定です.また,STやPTと働く機会があることから,他職種への発信も併せて行いたいと考えております.
患者の呈する神経心理学的症状を丁寧に調べることは,○○症と名前を付けるだけの解釈に留まらず,その特徴を理解することを可能にします.また,病巣部位と症状との対応関係を検討することによって,脳機能の理解にもつながります.これらが,治療・介入の糸口になることもありますし,新たな発見につながる場合もあります.
こうした学びの機会となるのが,当学会の学術集会への参加や学術誌の閲覧と考えます.当学会に入会し,私たちと一緒に神経心理学を学んでみませんか.