日ごろ臨床をしていると「おや、この症状はなんだろう」「どうしてこんな行動をとるのだろう」と疑問に思うことがあると思います。そこで教科書を開くなり仲間に聞くなりし、文献にもあたるうちに、どうも自分がいま観察している症状は「ちょっとこれまでの報告とは違う」ことに気づきます。さらに診察や検査を加えたり、他の症例でも観察したりすると、その本質がおぼろげながら見えてきます。その結果を学会や研究会で発表するわけですが、発表が終わったら一件落着ではありません。論文としてまとめることで、後世までその内容を伝えることができます。
「神経心理学」は1985年に、本学会の機関誌として創刊されました。これまでに日本の神経心理学に関わってきた多くの方々が編集委員として本誌を支えてくださり、学会員の協力のおかげで、日本の神経心理学を代表する雑誌になりました。本誌の特徴は3つあります。
論文を書くことは少し敷居が高いと感じるかもしれません。しかし、そこを一歩がんばって超えると、論文は何年経っても誰かの役に立ち、何より自分の研究が雑誌に掲載されるという達成感を得ることができます。さらに、本誌に掲載された論文のうち特に優れた論文は、年に一度、筆頭著者の年齢にかかわらず優秀論文賞として推挙され、賞状、副賞が授与されます。本誌は電子投稿が可能ですので、以前に比べると大分手間が少なくなりました。また、掲載論文は1年経つとウェブ上で世界に公開されますので、自分の研究を広く知ってもらうことができます。
学会員のみなさまの論文をよりよい形で掲載できるよう編集員一同がんばっております。ぜひ「神経心理学」へご投稿ください。
編集委員長 鈴木 匡子